宮越総業 貴賓館 〈松雲〉

海石榴の建築をご覧になった施主宮越様が、この施工をした業者へ工事を依頼したいとのご意向で、当社が特命で受注した工事です。
設計は、山水楼や海石榴の設計を先代創業者から当主の齋藤社長に至る迄、引き続いて設計全般を手掛けられた宮村春夫先生であり、ご自身も、自分の設計業務の集大成であると申された作品であります。
宮村先生はオーナーの希望が、“フランスの王宮風のものを”ということであったので、そのイメージを確認していただくために、建築家村野藤吾氏の設計した高輪プリンスホテルの一部となっている旧竹田宮邸をオーナーにご覧いただき、そして歴史的財産として今も光り続ける日本と外国のフォルムを全部、頭の中に入れ、少しずつ現代風にしていきました。
全体では「重厚で荘重」な感じを建築の表現とし、また、庭の部分は、オーナーが横山大観の「生々流転」の絵のような気持ちを大切に作庭してほしいと宮村氏に依頼されました。
庭の一木一草、一流一石すべての生命力を出し切れるような作庭を心掛けたといいます。
（松雲の建築に寄せて　著作　宮村春夫　　発行所　株式会社開建築事務所　参照）